ヘルマン・ヘッセの音楽観をめぐっての一考察
- 発表者
- 鍵谷 優介
- 日時:
- 2014年8月8日
- 場所:
- 明治大学御茶ノ水校舎 研究棟第5会議室
- 発表要旨:
ヘルマン・ヘッセがどのように音楽を受容し、またどのような影響を受けてきたかを考察するため、作品中における音楽に関する記述、そしてヘッセが残した膨大な数にのぼる書簡や音楽・芸術に関するエッセイを紐解いていき、最終的に畢生の大作である『ガラス玉遊技』に結実するまでのヘッセと音楽との関わりを考察した。ヘッセが比較的多く言及している作曲家として、ショパン、ヴァーグナー、ブラームス、R・シュトラウス、バッハ、モーツァルトなどのほか、実際に交流のあったオトマール・シェック、エトヴィン・フィッシャーらに関して、ヘッセがどのような受容態度を示してきたのかを考察した。また、音楽(作曲家および演奏家)における「白魔術」と「黒魔術」について、そして「音楽の言語化」に対するヘッセの見解をまとめた。そこには音楽に関する純美学的な問題の背後にある、真の音楽の持つ根源的精神に関する問題、また音楽についての自由な文学的幻想と、学問的手法によるアナリーゼとの接点に対するヘッセ自身の知的関心が窺える。