発表者:
宮島章子
日時:
2022/03/18
場所:
オンライン
発表要旨;
『失楽園(Paradise Lost)』の翻訳により,著者ミルトン(John Milton, 1608–1674)の名をドイツ語圏に定着させたのは,スイス人文学理論研究者ヨハン・ヤーコプ・ボードマー(Johann Jakob Bodmer, 1698–1783)である。ボードマーは,その生涯にわたり,自身の翻訳に度重なる改訂を加え,出版は計6版にのぼる。スイス特有の書きことばを重要視したボードマーの言語理論は,この翻訳作品においてどのように反映されているのだろうか。本発表では,この『失楽園』翻訳をボードマーの文学・言語理論実践の場と捉え,各版を比較しどのような改訂がなされたかを,特にその語彙の地域的特性に着目して詳細に分析することにより,ボードマーの言語理論の実践について考察する。