発表者:
松鵜 功記
日時:
2014/05/17
場所:
明治大学御茶ノ水校舎 研究棟第6会議室
発表要旨;
2013年ドイツ書籍賞ロングランに入り話題となったスイスの新人作家Johnas Lüscherの処女作”Frühling der Barbaren”を取り上げた。チュニジアにあるエキゾチックな外国人向けリゾートホテルにイギリスの若者のグループが宿泊している。彼らはみな金融関係の仕事に従事しており、このリゾートホテルで結婚式を執り行うためにやってきた。しかしその間にイギリス経済は破綻してしまう。本発表では、(1)循環構造をもったNovelle形式、(2)会社の顔ではあるが行動しない主人公Preisingerと資本主義との関係、(3)作品で展開される名目主義と本質主義についての省察、(4)金に代表される利潤追求、効果・有用性が支配する世界に対する批判、以上のことを手がかりに、全世界に影響を及ぼす大規模なカタストローフをリゾートホテルという箱庭的な小さな世界に凝縮して語る語りの手法を考察した。